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トラックから船へ。いま注目の「モーダルシフト」とは?
私たち海運業界では以前から提言されていましたが、物流業界をはじめ社会全般ではいま、「モーダルシフト」という言葉が注目されています。
一見、難しそうな言葉に思えるかもしれませんが、私たちの生活や経済活動に深く関わる、大切な考え方です。
今回は、モーダルシフトとは何か、なぜ今必要とされているのか、そしてそれが私たち海運業者にとってどんな意味を持つのかを、わかりやすくお伝えします。
■ モーダルシフトとは?
「モーダルシフト」とは、輸送手段(モード)を切り替える(シフト)という意味の言葉です。
具体的には、これまでトラックで運んでいた荷物を、鉄道や船といった別の手段に切り替えることを指します。
たとえば、東京から大阪までの長距離輸送を、すべてトラックで行うのではなく、途中までは鉄道や船で運び、最後の数キロだけをトラックで配達する、というようなイメージです。
このように、輸送手段をうまく組み合わせることで、ドライバーの負担軽減やCO₂排出量の削減を実現する取り組みが、モーダルシフトです。
■ なぜ今、モーダルシフトなのか?
モーダルシフトが注目されている理由は、大きく3つあります。
1. ドライバー不足と労働時間の制限
2024年から施行された「働き方改革」により、トラックドライバーの労働時間に厳しい上限が設けられました。
これにより、今まで当たり前だった「長時間運転」ができなくなり、荷物を運ぶ手段そのものが見直されつつあります。
人手不足が深刻な中、これまで通りの輸送スタイルでは限界がきているのです。
2. 環境への配慮
鉄道や船は、トラックに比べてCO₂の排出が少ないのが特徴です。
たとえば、同じ距離・同じ重さの荷物を運ぶ場合、船はトラックの約1/5のCO₂排出量とも言われています。
企業や自治体でも「脱炭素」「カーボンニュートラル」の動きが活発になっている今、より環境に優しい輸送手段への切り替えは急務です。
3. コストと効率の両立
一度に大量の荷物を運べる鉄道や船は、実は長距離輸送においては非常に効率が良く、コストも安定しやすいという利点があります。
トラック運転手が高速道路を何百キロも走るよりも、海上輸送や鉄道輸送の方が、時間も人件費も削減できる場合があるのです。
■ 海運業が果たす役割
モーダルシフトの流れは、私たち海運会社にとって、大きな転換点でもあります。
特に日本のような島国では、港と港をつなぐ海上輸送は、今後さらに重要な役割を果たすと考えられています。
港を拠点に、地域の農産物や製品を広域に送り出すことができれば、トラックだけでは難しかった新たな流通ルートが開けるかもしれません。
ガット船を主流に、日本全国の港間輸送に従事している私たち御前崎海運でも、より多くの荷主さまにとって「頼れる物流パートナー」でありたいと考え、航路の見直しや環境対応型船舶の導入検討など、様々な取り組みを進めています。
■ モーダルシフトは「組み合わせ」がカギ
モーダルシフトとは、単に「全部船で運びましょう」「鉄道だけにしましょう」という話ではありません。
大切なのは、それぞれの輸送手段の強みをうまく組み合わせることです。
・短距離・都市部の細かい配送:トラックが得意
・長距離・大量輸送:鉄道や船が得意
こうした「ハイブリッド型」の物流が、これからのスタンダードになると言われています。
■ まとめ:物流の未来を支える一歩として
モーダルシフトは、単なる物流の効率化ではありません。
それは、環境への配慮、労働環境の改善、そして地域経済の活性化にもつながる「持続可能な未来への第一歩」です。
私たち御前崎海運は、船だからこそできる輸送の可能性を信じ、モーダルシフトをただの“流行語”ではなく、具体的な行動として地域と社会に還元していきたいと考えています。
これからも、物流の未来をともに考え、支えていきましょう。